遠野の釣りは鬼門だ


大釣りの西木から一転、遠野はやはり鬼門だった。


 7月7日(日)角館で行われた森林体験交流会で首都圏バスを見送り、会場の清掃をし
て解散した。参加者それぞれの行く先に向かって別れた。              
 私はPONTAさんと井戸掘りさんと三人で遠野に向かった。角館から盛岡に向かう仙岩
トンネルを越えると急に天気が良くなった。強烈な陽射しが照りつけ、気温が一気に上が
った。車の窓を全開にして走るが、それでも暑い。                 

 角館から三時間走って遠野に到着。すでに十一時半になっていた。昨日の作業服などが
雨でぐしょ濡れになっていたのでコインランドリーを探して洗濯をする。洗濯の時間待ち
の間に昼食を食べることにした。                         
 コインランドリー横の食堂に入る。メニューはどれも旨そうだった。ここ何日か野菜不
足だったので野菜炒め定食を注文する。ところがこの店は何でも大盛りだった。出て来た
野菜炒めは丼のようなものに入っていて、食べても食べても量が減らない。野菜だけで満
腹になってしまった。ちなみにPONTAさんは冷風麺(冷やし中華)、井戸堀さんは天丼
ラーメンセット。どちらも大盛りで、特に井戸堀さんは食べるのが大変そうだった。  
 お客さんはどなたも大型の人ばかりだった。                   

遠野のお昼。PONTAさんが頼んだ冷風麺(冷やし中華) 私が頼んだ野菜炒め定食。量が半端じゃない。

 洗濯物が乾くまでの間、昨日の作業で濡れた道具類を道に広げて干す。案の定、ノコも
ナタも真っ赤に錆びていた。これは帰ってからサビ落としが大変そうだ。サヤまで濡れて
いるのでたちが悪い。サヤと刃物を別々に収納し、箱に蓋をした。          
 洗濯終了。そのまま三台の車は附馬牛(つくもうし)を目指す。今晩の宿「わらべ」が
ある場所だ。午後はその近くの川で釣りをすることになっている。          

 わらべを通り過ぎ、りゅう川の上流で車を停める。着替えていたらいきなりキイロスズ
メバチが飛んできたので場所を移動する。                     
 着替えて川に下り立つ。井戸堀さんは右手右足が不自由なのだが、なんとフライに挑戦
するという。すごいチャレンジだなあと感心する。                 
 川は広くてきれいだった。しかし、魚の影がなかった。走る影も見えない。天気が良す
ぎて岩の影に隠れてしまったようだ。                       

りゅう川の上流に入る。ひんやりと涼しい。 井戸堀さんはフライに挑戦している。片手で……。


PONTAさんはロングラインのテンカラで。 PONTAさんが岩魚を釣った。

 気分の良い川なのだが、釣れない。水は冷たく、涼しいのだが、肝心の魚が見えない。
井戸堀さんはライントラブルに見舞われて大変だ。横で直しながら一緒に遡行する。  
 PONTAさんが一匹釣った。岩魚だったが、写真を撮る前にオートリリース。その後が
続かない。川が護岸で細くなったのを機に脱渓して別の場所を目指すことにする。   
 川から上がったら牧場だった。牧場のおじさんが「昔はいっぱいいたんだけどねえ…」
と笑っていた。                                 

 車でわらべに戻る。わらべに車を置き、上流の牛舎前を釣ることにした。上流に向かう
道にはたくさんの水たまりがあり、昨日が雨だったことを教えてくれる。期待しながら川
原に立ち、芦原から入渓する。ところが、意外にも水量が多い。           
 腿までの深さで、押しの強い流れがある。川に立ち込むことは出来るが、上流に遡行す
ることが出来ない。PONTAさんはウエーダーではないので、最初にギブアップ。すぐに
脱渓する。ここでは釣りは無理だと判断し、下流の川原がある場所へと移動する。   

PONTAさんと井戸掘りさん。 頑張るのだが、なかなか釣れない。


下流の本流に移動する。が、なかなか釣れない。 支流のりゅう川に入りテンカラを振るPONTAさん。

 本流の下流に移動して、やっとまともな釣りが出来るようになった。しかし、魚の気配
がない。二人が手前を釣るので、私は対岸に渡り反対側を釣る。しかし、魚の反応がまっ
たくない。そのまま上流へと遡行するがアタリがない。               
 支流のりゅう川へと入る。先行するPONTAさんを追ってふたりで急ぐ。追いついたら
PONTAさんがちょうど岩魚を釣ったところだった。写真を撮る。          
 そして、そのすぐ後でやっとヤマメが釣れた。流れた毛鉤を上流から追いかけるように
飛びついたヤマメ。上手く合わせることが出来た。会心の一尾……。良かった…。   

やっと釣れた。宝石のようなヤマメ。 なんとか一尾釣って大満足のkuroo。

 6時過ぎたのでそのまま脱渓する。早池峰神社の前を通り、わらべに戻る。着替えてチ
ェックインすると風呂が沸いていたので、すぐに入る。風呂から出てもまだ明るい。  
「そういえば、ここでゴールデンタイムに釣りした事がないよね…」などと話ながら夕食
の部屋に向かう。夕食の時間とゴールデンタイムが重なるためだった。        
 豪華な夕食。釣れない我々を慰めるかのように、巨大な岩魚の塩焼きがデンとお膳に乗
っていた。ここの塩焼きは基本的に頭から食べる。よく焼いてあるので、そのままガブリ
と頭からかじる。口いっぱいに岩魚の頭が入るがそのままかみ砕く。岩魚だけで腹いっぱ
いになるような大きさだった。                          

PONTAさんも釣った。 巨大な岩魚の塩焼きが……。こんなのが釣りたいのに……。

 翌朝、6時に起きて早池峰神社に参拝する。早朝にひとりで早池峰神社に参拝すると身
も心も清浄になるような気がする。本殿に参拝したあと、裏側を回る。この神社の裏手は
なにか気配の濃い場所だ。長くはいられないが、行ったら一度は通りたい場所だ。   

早池峰神社の随神門。新しく茅葺きされていた。 早池峰神社の本殿。この裏側がなにかすごい。

 朝食を食べてからゆっくりと着替える。今日はこの川の上流に入る。        
 車で20分ほど走った上流。林道に車を停め、入渓する。ここは天井が高い川なので木
の枝を気にせずテンカラを振ることができる。                   
 井戸掘りさんも今日はテンカラで勝負だと言って、フライを置き、テンカラ竿を持って
入渓した。こちらのほうが楽そうだ。                       

朝食。 本流の上流に入る。

 時折魚が走るので魚はいる。しかし釣れない。ひたすら毛鉤を振りながら上流へ遡行す
るが……釣れない。                               
 先行していたPONTAさんが岩魚を釣った。私と井戸堀さんはまったく釣れない。最高
のポイントがあった。二人が見ている前で私が毛鉤を飛ばす。バシャっと魚が出たのだが
合わせが遅れた……。この川で一回だけあったチャンスを逃した。          
 その後はまったくダメ。魚が走る走る。毛鉤には反応がない。何とも難しい状況。  
 二股を左に上がったところで護岸があり、そこで意欲をなくす。PONTAさんに話して
ここで脱渓する。悔しいがボウズとなってしまった。まあ、こういう事もある。    

今日もロングラインテンカラでがんばるPONTAさん。 そして、岩魚を釣った。


なかなか釣れない。 井戸堀さんも疲れた。

 林道を歩いていると橋があった。上から覗いてみたら見える範囲だけでも5尾のイワナ
が定位している。「こっちの川が本命だったんだね…」と話ながら林道を下る。    
「次回はここからやろう…」などと話したが、今度はいったいいつになることやら。  

 相変わらず遠野の渓流は私にとって鬼門だった。                 

昼は遠野ジンギスカン発祥の店「あんべ」で食べた。 このボリュームを昼から食べる。ビ、ビールが欲しい……




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