大雨の後で


大雨の翌日、釣りと筍を狙ってホームリバーへ


 5月22日、大雨の翌日、ホームリバーに行った。前日に100ミリ以上の大雨が降っ
た那須地方だった。ここに来る途中でも沢が溢れ、道路上が川のようになっていた場所が
あった。至る所から水が噴き出しているような状況。少し不安になりながらいつもの駐車
場へ行く。                                   
 川幅いっぱいに流れる本流はとても渡れそうにない。駐車場に停まっていた車で三人の
人が濡れた服を着替えていた。「本流かい?本流はダメだよ。とても渡れない」と親切に
教えてくれる。「いや、山の方なんで」と行って歩き出す。今日は釣りがダメでも別の目
的があった。                                  

 今日の狙いは増水した川での釣りと雨後の筍狙いなのだ。先週ここに来た時に採ったネ
マガリ竹の筍がじつに旨かったので、今日はそれを採りに来たのだ。増水して川に入れな
くても山に行く目的があった。それに、この川で本流を釣る人はこの川を知らない人だ。
本流には魚はいない。                              

 いつもの橋に到着。確かに増水はしているが渡れないほどではない。午前中タケノコ採
りをして様子を見ることにする。早速近くの竹やぶに突入する。雨後の筍とはよく言った
もので、手頃は太さの筍が所々に出ている。しゃがんで筍を見つけながら藪をガサガサ進
む。30分ほどで袋いっぱいになったので河原に出る。川は平水より10センチくらい増
水して、流れが棒のようになっている。場所を選べば渡れないほどではない。     
 河原で筍の皮をむく。ベストで運ぶのでがさばらないようにするためだ。皮のまま持ち
帰った方が当然鮮度は良いのだが、今日はたくさん持ち帰りたかったので皮をむいた。皮
をむくと量は三分の一になる。                          

大雨の後で増水していた。平水よりも10センチくらい高いか。 大きなヤマメが釣れた。

 筍が一段落したので釣りを開始。すぐに大きなヤマメが釣れた。先週とは大違いで魚の
反応がいい。すぐにまたヤマメが釣れて驚く。いつもは釣れたことがない場所だった。や
はり増水すると魚の活性は良くなる。増水するとポイントが変わる。深く緩やかな流れを
探すのがコツだ。                                

ヤマメが立て続けに釣れた。 大満足の笑顔。狙い通りだ。

 釣り上がるのが楽しい。風が吹き下ろしなのが少しつらいが、それでも魚の反応がある
のが楽しい。五つ連続してヤマメが釣れたので満足して、また藪に突入して筍を探す。太
くて短いもの、出始めのものだけを選んで採る。贅沢な採り方をしているが、持ち帰るに
も限度があるので選んで採る。                          
 午前中だけで魚も筍も十分に満足できる状態。河原で食べるおにぎりも旨い。風が心地
よく木の葉を揺らし、五月の爽やかさを運んでくる。豊かに増水した川は見ているだけで
も楽しい。                                   

大雨の影響か、太い木が川に向かって倒れていた。 元気なヤマメが毛針に反応してくれるのが嬉しい。


増水しているが渡れないほどではない。 またいい型のヤマメが釣れた。


増水すると淵が大きくなってポイントが遠い。 風が気持ちいいが、吹き下ろしなので毛針が飛ばない。

 午後、河原を歩いていて突然転んだ。足先が岩に引っかかってそのまま倒れてしまった
。とっさに手にしていた竿は放したので竿を折ることはなかったが。右すねを岩角に強打
してしばらく動けなかった。骨を折ったかと思ったのだが、しばらくしたら動けるように
なったのでホッとした。                             
 足を上げたつもりが思ったところまで上がっていなくて引っかかったのだろう。河原だ
ったので濡れることもなく痛い思いをしただけだったが、川の中でこれをやったら大変な
ことになる。それからはいつも以上に慎重に足を進めた。転倒が続くようだったら、渓流
釣りは難しくなる。                               

小さい淵でイワナが釣れた。 元気なヤマメが毛針に飛びついてきた。


またまたイワナが釣れた。 増水すると奥にいた魚も表に出てくるようだ。


こんな場所からは必ず出る。 案の定、元気なヤマメが出た。

 先週釣り終えた場所のずいぶん手前で12尾を数えたので満足して脱渓した。釣果はヤ
マメが24センチ頭に9尾、イワナが22センチ頭に3尾。どれも型揃いで、大満足の釣
果だった。                                   
 周辺の竹やぶで最後の筍採り。太く出始めのだけを狙って筍取り。袋いっぱい採って河
原で皮をむく。空いたビニール袋にミズを摘んでいっぱいにする。出始めのミズは柔らか
く、お浸しにするとじつに美味い肴になる。ベストザックいっぱいの筍とミズが重い。 
 途中で大きな猿に遭遇。道を渡って竹やぶ前でこちらを睨んでいる。筍はいくらでもあ
るのだからそんな目で俺を見るなよ、と心の中でつぶやいた。            

満足の笑顔。先週のリベンジ完了。 五月の渓流は美しい。魚が釣れれば最高だ。


まだ日は高いが脱渓した。 駐車場横の本流は相変わらず増水していた。

 3時上がり、一時間歩いて車に到着。4時半に高速に乗る。自宅に着いたのが6時半。
それから料理をする。大量の筍の食べられる部分だけを切り出す。これを味噌汁、煮物、
筍ご飯に調理する。ミズは茹でて胡麻和えにした。味噌汁はミズの茎と油揚げ、鯖の水煮
で作る秋田風。煮物は薄味で油揚げとさつま揚げを一緒に煮る京都風。筍ご飯はみじん切
りの油揚げと筍を炊き込む。薄い醤油味がつく。ここまでやってお風呂に入る。    
 筍ご飯が炊き上がって夕飯になったのが8時半。風呂上がりのビールが美味い。料理は
どれもみんな美味い。大満足の一日。しかし疲れた。筍は料理を翌日にすることが出来な
いので大変だ。山で採ってきた物の料理は私がやるルールなので全部やるのだが、今日は
本当に疲れた。                                 

脱渓した空の青が気持ち良かった。 若いミズの胡麻和え。さっぱりと旨し。


筍と鯖の水煮とミズの味噌汁。なんて旨いんだ。 筍ご飯は薄い醤油味。上品で旨し。


薄味の煮物は油揚げとさつま揚げを炊き合わせた。 もう大満足の夕飯。疲れたけど最高の夜。




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