瀬音の森日記 19


個展「瀬音の森の魚達」前日



1998.11. 25

11月25日個展の前日、搬入と設営の日だ。朝9時に水戸から応援のNOBEさん
が車でやってきた。今日の設営が個展の準備作業のなかでは最も重要な作業にな
るのだ。忘れ物の無いように車に作品、瀬音の森のパネル、ポストカード、必要
な備品などを積んで家を出発した。                    

車は青梅街道を新宿に向かって走る。車は以外と少なく、順調に進む。都庁前を
抜け、甲州街道に左折し銀座を目指す。途中渋滞があったが比較的スムーズに会
場である銀座アートプラザに到着する事が出来た。ソニービルの近くなので分か
りやすい。                               

受け付けで鍵をもらい、作品の搬入をする。何もない画廊はガランとしていて広
く、寒々としている。冷たく付き放されているように感じるのは、まだ自分の手
が触れていないせいだろうか? 静かに搬入をすませて車を近くの西銀座駐車場
に移動させる。銀座まで来て駐車違反でキップを切られたのではたまらない。 

ひと休みしてからNOBEさんと2人でいよいよ設営に入る。まず、ダンボールケー
スに入った作品をナンバー順に壁際の床に並べる。展示する全体のバランスを取
るためだ。そして一つづつ位置をずらしながら全体のバランスを調整する。次に
その作品の位置に合わせてピクチャーレール(作品を吊る金具)を一本一本取り
付ける。これが面倒くさく、けっこう手間がかかる。脚立に登ったり降りたりし
ながら一つ一つ確実に取り付けるという地味な作業だ。           

次に、昨品をケースから出して一つ一つピクチャーレールに取り付けていく。 
・・ここで問題が発生する。ピクチャーレールは元々重い作品を吊る為の金具な
ので小さい作品はきれいに吊れないのだ。思案の挙げ句、小さい作品はピクチャ
ーレールは使わずにピン止めする事にした。                

全ての作品が壁にかかった。今度はその位置を決める。まず高さ。作品の中央が
床から150センチの高さになるように全て直す。さらに作品と作品の間隔。これ
は各ブロック毎に均等になるように微調整する。NOBEさんと2人でこれだけの
作業を終えた段階ですでに時間は4時。カミさんもやってきて3人で作業する。
時間が過ぎるのが早い・・・                       

受け付け作り、ポストカードの販売スペースを作り、ソファーの位置を修正し、
机を商談スペースのカーテン後ろに隠し・・・そんな細々した作業をする。そし
て最後にスポットライトの調整。作品1点に対しスポット1灯の原則で入り口側
から斜めに照射させる。                         

こうすることによって会場に入った人が内部に抵抗無く誘導され、自然に作品に
目が行くようになるのだ。入り口から順路に沿ってナンバー順に作品が並ぶ。受
け付け近くは作品を置けないので空きスペースが多くなるが、ここには前もって
買っておいた釣り具をデザインしたスカーフ(なかなかのブランド品です)を張
ってスペースを埋める。なかなか良い感じだ。瀬音の森のパネルもうまく付ける
事が出来た。                              

全て終わって5時半、時間は予定通りだ。本番と同じように会場の蛍光灯を消し
て、スポットライトだけにして見る。・・・・・・Good・・・・パーフェクト。

最初この画廊に入った時に感じた違和感はまったく消えた。こうしてスポットラ
イトを浴びた作品達はじつにイキイキしている。木目も輝いて、家で見るよりも
ずっと素晴らしい作品に見える。馬子にも衣装とはこのことか・・・・    

とにかく、これで準備は終わった。満足のいく出来上がりにホッとした。   

いよいよ明日から個展だ。瀬音の森の第一歩だ。              

ドキドキしてきた・・・あとはまた明日から。