瀬音の森日記 26
林野庁業務部業務第二課
1999. 1. 12
11日の月曜日、高橋さんから電話が入る。「kurooさん突然なんですが、明日
林野庁に行きませんか? イヤ、例の丹沢の件をやっつけようと思いましてね」
って、本当に突然である。一瞬、仕事の事を考えたのだが、即答する。「行きま
しょう。」何せ、今年は瀬音の森が最優先なのだ。
待ち合わせは虎ノ門のJTビル。高橋さんにしてはおしゃれな場所を指定したもん
だと思っていたら、今、ここの6階に消防庁が間借りしてるんだそうだ。例の地
下2階にプールを計画していた合同庁舎が出来上がるまではJTビルが庁舎なのだ
そうだ。それにしてもバブリーなビルだ。このビルを建てる金の1万分の1でも
瀬音の森に回してくれればなあ・・・などとバカな事を考える。
行く先は農林水産省の中の林野庁。高橋さんは歩くのが早い。コートも着ないで
サッサと歩く。ついていくだけで半分駆け足のようになってしまう。本当にせっ
かちというか何というか、少しはひとの事を考えてもらいたいものだ。
林野庁は農林水産省の北別館にある。高橋さんは庁舎の中を歩くのも速い。やけ
に床が滑る。古い市役所のような天井の低い庁舎の6階に目的の林野庁業務第二
課があった。
事前に高橋さんがメールを送ってくれていたので話が早い。係長の尾山さんと企
画官の小島さんが応対してくれた。早速高橋さんから質問が出て、それに小島さ
んが答えるという形で会話が進む。以下、その小島さんの話の内容を要約する。
・分収造林は場所が少なくて、現在は公募形式での募集になる。応募者は抽選と
なるだろう。希望の場所で分収造林出来る事は少ない。技術も時間もお金も必
要になるので、経験のないところとは契約は難しいのではないだろうか。
・河川周辺での分収造林は特に少ない、保安林となっている場合がほとんど。
・川と林道の間は意識的に放置しているので荒れているように見える。
・話の内容からすると法人の森がおすすめ。
・分収育林(50万円一口)をまとめて一山単位で契約するもので、3haからの
契約となる。(10口以上で契約したい・・という事は500万円必要?!)
・中にあずまやを作ったり、椎茸栽培をしたり、ベンチを作れたりと契約者が使
える部分が多い。体験林業にはもってこいのシステムである。
・60年契約で、木を切らない契約も出来る。
・管理は国が行い、収益は3割国で7割が契約者となる。
・契約は営林局長となるので、関東では東京営林局が窓口となる。現在は金沢さ
んが担当している。
・法人登記されている事が条件である。
・場所は選べる。現地を見て、ここを契約したいという交渉も出来る。
・高橋さんのおっしゃる西丹沢も充分可能なはずだから、調べて連絡する。
・今年、通達が出される予定の「国民参加の森作り」(現在名称募集中)森作り
を一部ボランティアに委託しようという考えの動きもあるので、そちらも検討
して欲しい。
4時半から5時半まで約1時間の聞き取りだったが、少なくとも国有林での方向
性は見えてきたように思う。当初考えていた分収造林では非常に瀬音の森の実現
が難しく、法人の森にその活路が見いだせそうな気配がする。
地方自治体(県・町・村)及び民有林にどのような可能性があるかはまだ未知数
だが、こちらの体制をどう整えるかは見えてきたようだ。少なくとも法人の森を
実現するには瀬音の森は任意団体ではダメで、きちんと法人登記しなくてはなら
ない。NPO(特定非営利活動法人)として認証される事が条件となった訳だ。
法人登記を早い時期に視野に入れた組織作りが求められている。
問題は資金だ。・・・・・・・・・
農林水産省から出て、忙しい高橋さんをうながして喫茶店に入る。逢う事も少な
いので確認しておかなければならない事が多いのだ、勤務時間中なのに申し訳な
いが同行してもらう。いろいろ対策を考えるが時間が無く、お互いに検討しまし
ょう、という事で別れた。
問題は次から次にやってくる、あとはまた明日から。