瀬音の森日記 58
瀬音の森・西丹沢に暗雲
1999. 5. 11
5月6日のゴールデンウィーク明けに関東森林管理局に電話した。前から進めてい
た瀬音の森・西丹沢の進捗状況を企画官に聞くためだ。高橋さんが一度チェックを
入れてくれて、連休明けに確認してみましょうという事になっていたのだ。
電話して驚いた。担当の企画官が変わったという。K澤さんという企画官と前回打
ち合わせした時は、場所も確認し、費用はどのくらいになるか?というところまで
話が進んでいたのだが、電話口の向こうの気配に一抹の不安を感じた。
新しい企画官はM子さんという人だった。M子さんの言うところによると・・・
まず、現地を確認してから地元の東京神奈川森林管理所と話し合った上で、法人の
森候補地として登録出来るかどうか検討する。法人の森候補地として登録出来たら
、それを全国に公告して全国から応募を募り抽選で法人を決める。
さらに、瀬音の森よりも先に国土緑化推進機構が神奈川に法人の森候補地を申請し
ているのでそれが優先されるだろうという事だ。また、手続は順調にいって登録す
るのに3カ月はかかるだろうという事で、何だか言い方も事務的なものだった。
K澤さんから引継はされているはずなのだが、それを確認する事も出来ない事務的
な声が電話の向こうで終わった。驚いてしまった私はさっそくこの顛末を丹沢の渓
パテイオに書いた。自分でもどう考えて良いかまったく判断が出来ない状態だった
のだ。誰かにアドバイスして欲しかった。
私の混乱したコメントに高橋さんからの返信は落ち着いたものだった。内容を要約
すると「 ここは、淡々といきましょう。ルールがあるならその通りに、申し込み
が必要なら申し込むし、外れたときはアアそうですか、でいきましょう。」という
ものだった。
この高橋さんの言葉に、落ち込んでいた私は我に返った。「そうだ、まだ話が流れ
た訳じゃないのだ。とにかく一度新しい企画官に会う事だ。」と気付き、すぐに関
東森林管理局に電話して企画官のM子さんに来週の火曜日11日に伺う旨を告げた
。全ては会って話を聞くことからだ。
そして、11日の午前11時、関東森林管理局の企画官のM子さんに会った。初対
面なので、挨拶から、瀬音の森の話、今までのいきさつ、会としての考え方などを
かいつまんで話した。M子さんは真剣に聞いてくれて、法人の森契約までの一連の
手続について説明してくれた。それには以下のような話だった。
1、現地調査 指定した現地が分収育林又は法人の森として候補に上げてよい林分
かどうかを調査する。
2、候補決定 東京神奈川森林管理署(旧平塚営林署)で法人の森候補地としてリ
ストアップし、公募対象とする。
3、検討 森林管理局、林野庁で内容を検討する。その際労働組合にも図る必
要がある。なぜ労働組合に図るのかは確認せず。
4、評定 現地の測量、立木調査。一本一本の立木の太さなどを調べるのだそ
うだ。これが育林口数の基礎になる。
5、口数決定 分収育林の口数の決定、一口50万円の育林口数が何口になるか?
この口数の3割をを国が、7割を瀬音の森が負担する。
6、公示 契約者がすでに決まっている場合を限定公募と言うが、それでも一
週間の公示が必要となる。管理局・管理署の掲示板に貼り出す。
7、費用 費用負担額を管理局指定口座に振り込む。
現状では「瀬音の森」では問題がある。(株)フリーハンドであれ
ばスムーズにいくだろうとのこと。
8、契約 費用負担額が振り込まれてから契約となる。
以上のような流れで「瀬音の森・西丹沢」が誕生する。時間がどのくらいかかるの
か?と聞いたところM子さんは首をひねり「今年度は無理でしょう。来年度にかけ
て何とかなるようにしたいですね」と話してくれた。まさか遅れる事の口実として
細かくプロセスを話してくれた訳ではないと思うが・・・・
内容をみると大変そうだが、いずれも署内、局内で処理できる事だし、それほどの
時間がかかるのかどうか大いに疑問だ。しかしここでそれを言っても始まらない。
確かに瀬音の森の申請は受理されている事は確認したので、粛々と事務が進行して
契約までスムーズに運ぶよう期待したい。それともリストラで法人の森自体の見直
しをしているのだろうか?
いずれにしても、この程度の申請に2年もかかるようでは今後の日本林政はお先真
っ暗と言えるだろう。困ったことだ。こうなると、このまま待っていても仕方ない
ので別の方法で動き出す事も必要になってきた。
役所の担当者が良き理解者であり、我々の為に尽力してくれるなどという幸運はあ
まり無いものだ。今回はたまたま良き理解者に見えた人から普通の人に担当が変わ
っただけで、じつは役所のシステム上は何も変わっていないのだ。多くを期待する
のではなく、ルールに乗っとって事を進めてもらう事で良しとしよう。
それにしても危機感のない役所だ・・・・あとはまた明日から。