瀬音の森日記 64


熊本・吉無田の森を見る



1999. 5. 27


5月26日から会社の旅行で湯布院に行った。私はその旅行の中2日間を別行動で
熊本に行き、【瀬音の森・くまもと】の「吉無田の森」を見ることにした。湯布院
からは九州横断定期観光バスがあるので、それを利用して熊本に行く。熊本空港駅
に降り立つと、そこには安藤博士さんと勝三郎さんが待っていた。       

安藤さんとは初めて会うが写真と同じ顔なので何だか初めて会う人とは思えない。
挨拶を交わし車に乗り込み、一路甲佐町を目指す。甲佐町で昼食をとり、安藤さん
の仕事が片づく3時ころまで八勢川の下流で勝三郎さんと2人で釣りをする。  

八勢川は昨夜来の雨で黒く増水している。勝三郎さんのバンブーロッドの試し釣り
も兼ねてしばらく釣りをしていたが、この状態では釣れるすべもなく、安藤さんか
ら携帯が入ったのをシオに早々に切り上げる。                

昨年、安藤さんが禁漁区の設定をした区間を見に行く。取水堰で水を取られて、上
流の川の水は少なく、放流したヤマメがどれだけ残っているか少々不安になる。 
「禁漁」の看板から上流が禁漁区だ。車を走らせると、何と禁漁区に釣り人がいる
ではないか!!これには驚いてしまった。                  

そっと車を近づかせて釣り人に「ここはヤマメを放しちょりますけん、そこそこに
お願いしますね〜〜」と安藤さんがやんわりと注意する。地元の人だけに強い態度
に出られない。この辺は難しいところだ。「禁漁」の看板をあと2〜3枚増やす必
要がありそうだ。                             

車で林道を登り吉無田の森を見に行く。急な林道を登ると辺りが急に開けてきた。
勝三郎さんが車を止めて「ここです、着きました。」と言う。ここが吉無田の森な
のだ。                                  

そこは広々とした丘になっていた。昨年植えたサワグルミ、カツラ、モミジ、ヤマ
ザクラ、ケヤキなどがビニールのリボンを風になびかせて立っている。よほど大き
な苗を植えたのか?私の背丈ほどもある若木がある。丘を渡る風が気持ちいい。 

風に誘われて丘の上に登ってみる。丘の上から見おろす吉無田の森はまた格別だ。
林道の手前に細い小川があり、キラキラと流れに光が反射している。この広葉樹の
若木があと80年後にどんな森を作っているのだろうか?・・・想像するだけでも
楽しいではないか。                            

米村先生という人が個人で国と契約した「健康の森」。80年後に米村先生の意思
が森となってこの地に残る。「瀬音の森・くまもと」はこの森の手入れを行うのだ
。80年後に豊かに育った森は八勢川や緑川に水を供給し、ヤマメを大きく育てて
いるに違いない。                             

安藤さんが小川の水でお湯を湧かしてお茶を入れてくれた。「森のパン屋さん」の
胡桃パンを食べながら、これから先の事を語り合う。サラサラと小川が流れ、丘を
渡る風に若木がそよぐ。この場所は夢を語るのには最高の場所だ。       

東京から遠く離れた熊本の地で80年先の同じ夢を語り合える仲間がいる。何て素
晴らしい事だろうか。                           

充実した一日・・・・あとはまた明日から。