瀬音の森日記 7
下刈りボランティア
1998.8. 9
高橋さんの呼びかけで(社)かながわ森林づくり公社主催の下刈りボランティアに参加し
た。集合場所の津久井湖の駐車場に車を停めてぼ〜っとしていたら、窓をトントンとたた
く音。見ると怪しげなヘルメットを被った男が立っている??・・・ん??
よく見たら高橋さんだった。オフロードバイクにまたがり、さっそうとしたライダー姿で
ある。「いやあ〜これの方が早いんでね〜」と声が明るい。集合時間にはまだ30分以上
あるので色々な話をする。
公社のバスがやって来たのは集合予定時間を30分も過ぎてからだった。大人数のため、
駅で集合に手間取ったらしい。80人ものボランティアをまとめるのだから何かと大変な
のだと思う。瀬音の森でボランティアを募集する時は、我々がそれをやらなくてはならな
いのだと思うと何だか疲れる。
4台のバスは中高年の男女、山登りが趣味という感じの人でいっぱいである。さあ、困っ
た乗る場所がない。係の人に聞くと、車で行ける人は車で行って下さいということなので
高橋さんと二人で私の車でバスの後を追うことにした。
4台のバスと3台の乗用車は津久井湖から相模湖を越え、中央高速の下をくぐり、つづら
折りの山道を山梨県境の方に登っていく。鬱蒼とした杉林が重なるように続いている。杉
とヒノキの復層林である。おそらく県有林だと思うが手入れされた杉林は美しいものだ。
バスが停まったのは、ほぼ頂上に近い山の中。道路の端に苦労して車を停めて、全員が集
合している場所に向かう。すでに班編成されていて、各班毎に班長の話が始まっている。
大きな草刈り鎌を渡され、頭にはヘルメットをかぶる。手は軍手で足は地下足袋である。
九州で湯浅さんにもらった地下足袋がここで活躍する事になった。
参加者の顔ぶれを見る。中高年が圧倒的に多く、若い人はチラホラ見える程度だ。以外な
事に女性が多いのに驚いた。山仕事のボランティアという事で、ある程度参加者の層が特
定されてしまうようだ。瀬音の森でボランティアを募っても同じ様な人が集まるのだろう
か?
班長の説明が始まる。私は3班、高橋さんは6班と別々の班での作業となった。
・鎌の袋は必ず現地で使う時に外すこと。
・鎌を杖がわりに使うと手を切る事がある。
・自分の足や、他の人の足を切らないように注意すること。
・ツル取りはていねいに取ること。
・蜂が飛んできたらまず低い姿勢をとって回りの人に知らせること。
・万が一刺された時は、速やかに救護所に行って治療してもらうこと。
・雪害防止の為のロープが張ってあるので、これを切らないこと。
・無理をしないで自分のペースでやること。
私は初めての参加だったので一つ一つをしっかり聞いた。注意事項はいずれも常識的な事
ばかりだったが基本を大切にという事なのだろう。看護婦さんが一人同行していて救護を
担当している。この辺は瀬音の森も見習わなくてはならない。この鎌の準備もヘルメット
の準備も公社で行っている。これも大変な手間だ。鎌は全てきちんと手入れされている。
作業は左下がりの斜面を横に下草を刈って行く。下草が少ないので順調に進むのだが、雪
害防止ロープをうっかりすると切ってしまうので植えてあるヒノキの上側は慎重に刈る。
鎌がよく切れるので楽しい。もう少し下草が多いともっと面白いのだが、楽なのだから文
句を言ってはいけない。天気も湿った曇り空で、下刈りには絶好の天気である。カンカン
照りだったりしたら大変なところだ。
1時間半、午前中いっぱいで作業は終了した。でも、何か物足りない。あっけなく終わっ
てしまったという感じである。車で来ていたので汗びっしょりになったシャツを着替えた
のだが、バスで来た人が大半なので着替えに苦労していた。この辺は簡単なテントとか工
夫しないといけない。女性が着替えられないのは不公平な気がしたし、女性の参加者が少
なくなっていくのは、案外この辺が問題なのではないだろうか。
何か至れり尽くせりのボランティアで、仕事をしたと言うより、経験させて頂いた・・・
という感じが強い。それでも数のマンパワーはすごい、0,4ヘクタールとはいえ1時間半
で下刈りが終わってしまうのだから。
これからの林業を考えた時に、やはりボランティアという形は欠かせないと思う。さらに
は、若い人をどうやって参加しやすくするか・・・も課題として残りそうだ。私は間伐で
も除伐でも下刈りでも、刃物を思いっきり使えるところに魅力を感じているのだが、参加
した他の方はいったいどんな理由で参加していたのだろうか?
あ〜疲れた、あとはまた明日から。