瀬音の森日記 8
シンボルマークを創る
1998.8.10
丹沢パティオにシンボルマーク創りを宣言し清石さんに「瀬音の森」の文字を依頼した。
具体的な活動に入る前にどうしてもシンボルマークが欲しい。最初が肝心なので、ちょっ
と大変だがシンボルマークを創ることにした。仕事がらシンボルマークの重要性は良く分
かっているので余計に力が入ってくる。ここではどのようにしてシンボルマークが出来上
がるのかを書いてみたい。
瀬音の森のマークを創る。
まず、何を表現したいかを大きな紙に列記する。
・爽やかさ・安心感・緑・森・川・水・魚(ヤマメ・岩魚)・広葉樹・植林・河畔林・川
を守る・未来・環境・生態系・青空・川の流れ・・・・etc
この単語をじっと眺める。それぞれを結びつけたり切り放したり、ピンと来る組み合わせ
をラフスケッチにする。絵のメモである。半日くらいこれをやって、アイデアを出す。
アイデアとううよりもむしろ自分にピンと来る【何か】を探すためにやる作業でもある。
最初は魚にかかわるイメージが多かったが、徐々に木に集約されるイメージが多くなって
きた。こうしてこれを繰り返してイメージが固まってくる。文字は清石さんに書いてもら
うので後でハメ込む形になる。バランスが不安だが、ダミーの文字でデザインは進める。
ラフスケッチのイメージから「木を植える人間」というモチーフが固まってきた。人間と
いうからにはイラストを描かなければならない。では、いったいどんな人間のイラストに
するのか?写真集や雑誌を見ながらあれこれスケッチする。この時点で考えるのはいかに
シンプルに分かりやすいイラストにするかだ。
印刷を考えると1色で表現出来るものが良い。コストがかからず強くイメージを伝える事
が出来るからだ。様々な人間をモチーフとしたマークが頭に浮かぶ。ポールスチュアート
、ヘンリーコットン、ラルフローレン・・・・どれもカッコいい、そんなマークに近づき
たいものだ。
人間のイラストは4点描いた。「木を植える少年」「木を植える帽子を被った人」「木を
植える釣り人」「苗木と手をつないだ子供達」の4点のイラストを様々な大きさに縮小し
たり白黒反転したものを作り机の前の壁に貼っておく。他の仕事をしながら時々眺める。
手が描いた事を忘れるまで放置する。これをデザインを寝かせると言う。そのまま翌朝ま
で放置して朝一番で見た印象を最も大事にする。朝、最初に見た一瞬が勝負である。
「木を植える釣り人」と「苗木と手をつないだ子供達」の2点が残った。ここからMacに
取り込んでの作業となる。ダミーの筆文字と組み合わせてバランスを見る。会社の新人で
ある宝木さんの教育も兼ねて妥協のないシンボルマーク作りが始まった。文字とイラスト
「SAVE RIVER」「SAVE FOREST」というキャッチコピーを加えて、無数の組み合わせ
からより良い大きさと位置のバランスを探す。
2種類のイラストで作業を進めるが、何とも「木を植える釣り人」のバランスが悪い。こ
の時点で「木を植える釣り人」は消えて「苗木と手をつないだ子供達」が残った。これか
らこれを「子供達の未来へ編」と名付けて作業を進める。モチーフは決まった。味付けが
欲しい・・・・・木の葉のシルエットを何かに使えないだろうか?宝木さんに木の葉のシ
ルエットをトレースしてMacに取り込んでもらう。あれこれ工夫してみるが決め手が無い。
この日はそこまでで終わる。
清石さんから文字が届いた。早速Macに取り込んで昨日のマークにハメ込んで見る。良か
った、バッチリだ。バランスもいい・・・さすがに使い方を心得た文字を書いてくれる。
文字、イラスト、コピーを組み合わせて書体を替えたり、大きさを替えたり、位置を替え
たりと昨日と同じ作業が繰り返される。そのうちにMacの画面に何かドーム型のものが見
えた。宝木さんが木の葉のシルエットを取り込んだ際、それらを羅列させてラインを作っ
たり、円を作ったりして試していたものの一つである。これを見てピンときた。
「宝木さん、そのドームの中にマークを入れて見てくれないか?」
木の葉のドームにマークが入った。不思議な程ピタリと納まった。「これだよ〜〜!」
よし、やった、OKだ!。
基本が決まればあとは早い。色を決め、出力してみる。
よしよし・・・いい出来だ。
8月18日(火) 私のホームページ「季刊kuroo」にアップし、丹沢パティオに完成報
告をした。
よしよし、あとはまた明日から。