瀬音の森日記 80
9月のきのこの森作り
1999. 9. 11
9月11日(土)きのこの森作りの日だ。朝7時に尾崎さんと待ち合わせている志木駅
に行く。南口のロータリーのところに尾崎さんが待っていた。挨拶をして荷物を積み込
み、車は中央高速府中インターに向かって、志木街道・小金井街道・甲州街道を走り抜
ける。八王子の料金所で渡部さんと8時半に待ち合わせているのだ。車が多い。のろの
ろ運転の高速道路が時計の進みをやけに早く感じさせる。
混んではいたが、ほぼ予定通りに八王子料金所に到着した。渡部さんはFCAMPのステッ
カーを貼った紺のワンボックスカーの横に立っていた。挨拶を交わす「いやあ、混んで
ますねえ・・・」「そうですねえ、こうしていても何だから行きますか?」「そうしま
しょう・・」とすぐに車に乗り込み渋滞の列に流れ込む。
車はのろのろ運転で須玉インターを目指す。途中からスムーズに流れるようになり、ほ
ぼ予定の10時半におおよしきりさんの山荘に着いた。まだ誰も来ていなくて山荘はひ
っそりとしている。3人できのこの森を散策し今夜のきのこ鍋用のきのこを物色する。
あちこちにまったく名前の分からないきのこが出ているので、とりあえず全て採る。あ
とでおおよしきりさんに見てもらえば良いのだ。
一通り赤松林を歩いてから、着替えて作業に入る。町有林の赤松林の手入れだ。林の中
の不用な雑木を切り倒して整理する。私はノコギリを使い、渡部さんは鉈を使う。尾崎
さんは切った雑木の片づけをする。切るのはネジキ、リョウブ、ウルシなどの細い木が
中心だ。これは光の少ない林内では、伸びてもいずれ枯れてしまうからだ。みるみるう
ちに林は見通しが良くなっていく。しばらく作業を続けていると汗が体中から吹き出し
てくる。今日も暑い。
体力的にきつくなったので休憩する。水道で顔を洗って汗を流しているところへハミン
グウェイさんが息子さんとやってきた。5人でワイワイ騒ぎながらとりあえずビールを
飲んで一休み。そこへおおよしきりさんと大森さん、ホッピーさんがやってきた。これ
で全員揃った訳だ。
昼食はいつものそば屋さん。ここのモツ煮はじつに旨い。ここでもビールを飲んで盛り
上がる。続いて今夜の食料の買い出し。当然お酒もたっぷり買い込む。肉体労働の後の
食事は重要だ。そのために働くと言っても過言ではない。自然と力が入る。
午後の作業は山荘の前の立ち枯れた松の木の伐倒だ。胸高直径40センチ、高さ15メ
ートルはありそうな大木だ。こうした立木を切り倒すのは初めてなのでものすごく太く
見える。チェーンソーのエンジンをかけて追い口を切る。そして反対側から倒す方向に
水平に刃を入れる。ちょっと緊張する。
この辺で止めてあとはくさびを打とうと思ってチェーンソーを止めて引き抜く。その時
メキッと音がして松の木が動いた。ツルの部分を軸にして徐々に倒れはじめ、メキメキ
ッと大きな音を立てて、バッシャーンと倒れた。斜面の下の道に激しく枝をぶちあてて
ものすごい音をたてて松が倒れた。至近距離で見ていると、すごい迫力だった。
道をふさいだ格好になっているので、急いで下の道に降りて枝の方から解体を始める。
チェーンソーで枝払いをする。横で見ていた内田君にチェーンソーを渡し、枝の切り離
しを体験してもらう。幹は先端から30センチの玉切りにしていく。大森さんもチェー
ンソーのエンジンをかけ幹の玉切りを率先してやってくれる。
太い部分でベンチを作ろうとおおよしきりさんが言う。内田君に協力してもらって1.2
メートルの長さに切った丸太を縦にチェーンソーで半割にする。かなり力が入った。こ
れは本当にチェーンソーならではの”ちから技”で、まっすぐに切るよう気をつけて作
業した。なかなか具合のいいベンチが出来そうだ。
この松の木を処理し終わったところでまたビールが出る。このビールがまた旨い。
次の作業は赤松林の切り倒した雑木を山荘の前に山積みにする。かなり広い林なので切
り倒した雑木もそうとうな量になる。このまま林の中に放置しておいてはますます林床
が富栄養化して松林には不適な土壌になってしまう。松が枯れる原因にもなるので、木
の枝や腐葉土も取り除いた方が良いのだ。
全員で雑木を一抱えずつ引きずって運ぶ。無念無想の体力仕事だ。道路の清掃作業のよ
うな作業を繰り返し、ひたすら山荘の前に雑木の山を築く。雑木を切り倒した林はとて
も見通しが良くなり、切り倒した雑木を運び去った林床はとても歩きやすきなった。も
う少しで隣の林のようになる。
5時半、木を運び終わったところで本日の作業は終了。全員車座になってビールで乾杯
する。渡部さんがすかさず焚き火を起こし、その周りで作業終了の一杯を飲む。じつに
旨いビールだ。焚き火の周りで飲むビールは特に旨い。
いろいろやらねばならない事も多いが、とりあえず乾杯!・・・あとはまた明日から。